研究室の試薬発注、紙からクラウドに変えるべき理由

2025/01/29

研究室の試薬発注、クラウド化ガイド

紙やExcelによる発注管理の限界と、クラウド発注のメリットを具体的に説明します。

研究室の“非効率”はどこから来るのか

多くの研究室では、紙の発注書、Excelの一覧表、口頭やメールによる確認などが依然として主流です。
このような運用形態は、長年続いてきた伝統や人手の多様さに根差しています。しかしこの“慣習”こそが、
業務の属人化、ミスの温床、時間の浪費といった非効率の原因となっています。
例えば、過去の発注履歴を探すために30分以上かかったり、担当学生の卒業で手順が引き継がれなかったり。
このような積み重ねが、日々の研究活動に大きな支障をきたします。

研究室の発注に潜む7つの課題

紙やExcelでの試薬発注には、以下のような問題が潜んでいます:

  1. 履歴が散在していて過去の記録が見つからない
  2. 型番や商品名の記入ミスが頻発
  3. 同じ試薬を重複して発注してしまう
  4. 担当学生によってフォーマットや手順がバラバラ
  5. 承認フローがあいまいで、責任の所在が不明確
  6. 作業時間が長く、研究に集中する時間を圧迫
  7. 退室・異動に伴い知識や記録が消える

これらの問題が複合的に絡み合い、発注にかかる業務負担を大きくしています。

紙・Excel管理の“限界”とクラウドの違い

Excelや紙による管理の一番の問題は、「更新性の低さ」と「共有のしにくさ」です。
ファイルが個人PCに保存されていたり、紙が1冊しかなかったりすることで、
発注状況をリアルタイムに把握できません。
また、バージョン違いによる混乱や、過去の履歴の整合性がとれないなど、
時間と精度の両面で限界を感じる場面が増えています。

一方でクラウド化されたシステムでは、常に最新情報を複数人で共有可能。
スマートフォンやタブレットからも閲覧・操作できるなど、研究現場の実情に即した運用が可能です。

クラウド発注システムの基本と選び方

クラウド発注システムとは、Web上で試薬や消耗品の発注・管理を行うためのツールです。
一般的に以下のような機能が搭載されています:

  • 発注情報の入力(試薬名、メーカー、型番など)
  • 履歴の保存と検索機能
  • 承認フローの設定
  • 複数ユーザーでの共有・閲覧

システムを選ぶ際は、「研究室の規模」「使いやすさ」「無料プランの有無」などを基準に選定することが重要です。
LabQuickのように、初期費用ゼロで運用できるものは、特に導入しやすい選択肢と言えます。

クラウド化で得られる3つの確かな効果

クラウド化により、次の3つの効果が実現されます:

1. 属人化の解消

履歴やルールが全員で共有されるため、「この人しかわからない」という事態が起こりません。

2. ミス・漏れの防止

型番ミスや重複発注といった人為ミスが大幅に減り、研究室全体の信頼性が向上します。

3. 業務の効率化

再発注も履歴から選ぶだけ、承認もワンクリック。従来の1/3の時間で同じ作業が完了します。

クラウド導入の3大効果:属人化防止・ミス削減・効率化

クラウド導入により、次の3つの点で研究室の運営が劇的に改善されます。

属人化の防止: 発注業務が特定の人物に依存しなくなり、誰でも同じ情報にアクセス可能になります。
ミス削減: 手書きや手入力によるミスが激減し、確認フローもシステム内で完結できます。
効率化: 発注の履歴を検索して再発注できるなど、時間を大幅に短縮できます。

【事例A】私立大学・理工学部の導入レポート

とある私立大学の理工学部では、長年紙ベースでの発注が続いていました。
学生が記入した発注用紙を教授が確認し、秘書が業者に連絡するという手順です。
この方式では、試薬名の記載ミスや確認漏れが多く、教授や秘書に大きな負担がかかっていました。
LabQuickを導入してからは、学生がWeb上で発注申請を行い、教員がクラウド上でワンクリック承認。
ミスは激減し、確認にかかる時間も1/4になったそうです。

【事例B】国立大学・研究所での全体展開プロセス

国立大学のある研究所では、複数の研究室が同時にクラウド導入を進めました。
当初は一部教員から「使い方が難しそう」との声もありましたが、説明会とマニュアル配布で不安を解消。
学生も「紙より早くてラク」とすぐに順応し、現在では研究室間での発注状況も共有可能に。
結果として、研究所全体の購買効率が向上し、事務局からも高評価を受けています。

学生・ポスドク・秘書・教員…役割別の活用法

  • 学生: 事前に登録された試薬を検索して申請するだけ。入力の手間が減ります。
  • ポスドク: 試薬の選定と履歴の確認が簡単に。発注状況の把握もリアルタイム。
  • 秘書: 申請状況と承認フローが一目で把握でき、伝達ミスもなし。
  • 教員: 承認ボタンを押すだけで発注OK。時間の節約に直結します。

このように、役割に応じて負担が軽減され、研究に集中できる環境が整います。

情報共有とチーム運営に与えるクラウドの影響

クラウドの最大の強みは、「情報を共有しやすいこと」にあります。
誰が、いつ、何を発注したかが一目で分かるため、実験計画の立案や進捗確認にも役立ちます。
また、引き継ぎや新人教育の際にも、過去の履歴を活用することでスムーズな連携が可能になります。
チームとしての一体感や運営の透明性が向上し、研究室全体の生産性が底上げされるのです。

DXの第一歩としての“発注の見える化”

研究現場でのDX(デジタルトランスフォーメーション)は、難しい技術導入から始める必要はありません。
最初の一歩として最も効果的なのが、「試薬発注の可視化(見える化)」です。
誰が何をいつ発注したのか、誰が承認したのかが明確になり、情報のブラックボックス化を防げます。
可視化された情報は、予算管理、棚卸し、論文の材料トラッキングにも活用でき、研究全体の透明性と精度を底上げします。

予算管理とクラウド発注の関係

研究費の適切な運用は、研究者の重要な責任です。
クラウド発注を活用すれば、発注金額や内容を時系列で追えるため、月別・研究テーマ別などの集計が容易になります。
特に科研費などの厳密な報告が求められる資金では、購入履歴の明文化が重要です。
クラウド上に残る履歴データは、証拠としても有効であり、監査対応や報告資料作成の工数を大幅に削減できます。

他の研究室との比較から見える課題

同じ学内でも、クラウド導入の有無によって業務効率には大きな差が出ます。
ある研究者は、紙ベースの発注で週に1回1時間かけて管理をしていたのに対し、
別の研究室では、クラウド導入後に作業時間が週10分以下になったという事例もあります。
他室のやり方を知ることで、自分の研究室にどのような改善点があるのかを見つける手がかりにもなります。

導入時のつまずきと乗り越え方

システム導入には多少の慣れや準備が必要です。
初期設定や使い方の説明が不足していると、現場で混乱を招くことがあります。
そのため、導入時には次の3点が重要です:

  1. 事前の説明会や簡単なデモで不安を解消する
  2. 導入初期はシンプルな機能に絞って運用を始める
  3. 学生・秘書・教員の間で役割を明確にする

LabQuickのように、サポート体制が整っているツールを選ぶことも成功の鍵となります。

クラウド導入にかかるコストとその回収

クラウド発注の導入にはコストがかかるという印象を持たれがちですが、
多くのシステムは初期費用ゼロまたは非常に低コストで導入可能です。
さらに、作業時間の短縮やミスの削減による人的コストの削減効果は大きく、
数ヶ月で投資を回収できるケースも珍しくありません。
特に秘書や教員の業務時間削減効果は目覚ましく、コスト以上の価値が得られると実感される研究室が多いです。

クラウドを導入した研究室のビフォーアフター

クラウド導入前は、試薬の注文ミス、重複発注、記録の不備などが頻発していました。
一方、導入後は発注の透明性が確保され、履歴確認や承認フローがスムーズに。
特に、発注記録の追跡が可能になったことで、研究室運営の“見える化”が進み、教員や秘書の負担が軽減されました。

LabQuick以外の選択肢と比較したポイント

発注クラウドには複数のサービスがありますが、LabQuickは「研究室特化型」であることが最大の特長です。
一般的な購買システムと異なり、複数の発注者と承認者が共存する研究室の運用に最適化されています。
また、導入サポートやUI設計も教育機関向けに作られており、学生や秘書でも直感的に使える点が評価されています。

紙文化との付き合い方と残し方

一部の研究室では、完全なデジタル化には抵抗がある場合もあります。
そうした場合は、クラウドと紙の併用からスタートするのも一つの方法です。
LabQuickでは、発注記録をPDFで保存・印刷できるため、記録用の紙ファイルにも対応可能。
重要な伝票や物理的な保管文化と共存しながら、徐々にクラウドへ移行できます。

発注以外にも応用できるクラウドの考え方

クラウド活用の考え方は、発注にとどまりません。
例えば試薬の使用記録、文献管理、備品貸出など、情報共有が重要な場面に応用可能です。
クラウドの導入は、情報の一元管理・共有・透明性という価値を研究室内に広げ、
チーム全体の協力体制や効率性を引き出す礎になります。

次のステップ:クラウドを活かす研究室経営

発注クラウドの導入は、研究室運営の効率化だけでなく、“経営”の視点にもつながります。
資材や人員のリソース管理、予算配分、プロジェクト進行などにも、蓄積されたデータを活用可能。
将来的には、複数の研究室間の連携や、学部全体での統合的な運用も視野に入れることができます。
小さなクラウド導入が、研究室を組織として強くする第一歩となるのです。